飛行機は国境を「飛ばして」しまう。歩いて越えると、地面のつながりが体でわかる。偏愛カタログ、陸路国境編1・2・3。
飛行機は国境を「飛ばして」しまう。出国はゲート、入国もゲート、あいだの記憶はドリンクサービスだけだ。歩いて越えると、国と国が地面でつながっていることが、足の裏でわかる。偏愛カタログ、陸路国境編。
メコン川に架かる友好橋を、バスと徒歩で越える定番ルート。おすすめは橋の真ん中で一度だけ振り返る儀式。さっきまでいた国が、もう「向こう岸」と呼ばれる。呼び方が変わるだけで、風景の意味が変わる。
渡し船で5分。ところが対岸に着くと時計が1時間進む(時差がある)。5分で1時間進む船に乗れるのは、世界でもここくらいだ。タイムマシンの運賃は数ユーロ。
毎朝数十万人が通勤で越える、世界屈指の生活国境。観光ではなく通勤の列に混ざって歩くと、国境が「日常の設備」である人たちの背中が見える。国境の非日常は、こちらの都合なのだった。