夕方5時の逆光。あれはもう着陸している。通勤路の頭上に浮かんでいた未確認飛行物体(確認済み)の話。
通勤路の頭上に、それは10年前から浮かんでいたらしい。夕方5時、いつもと違う道で帰った日、逆光の中にシルエットが現れた。脚が3本、胴体が円盤、腹に光の帯。完全にUFOである。正体は、団地の給水塔だった。
驚くべきは、この道を月に数回は通っていたことだ。人間は、名前を知っているものを見なくなる。「給水塔ね」と処理した瞬間、それは風景の背景に沈む。夕方の逆光が、名前を剥がしてくれた。名前が剥がれたものは、ぜんぶ少し宇宙っぽい。
次の満月の夜、また見に行く予定である。着陸の瞬間に立ち会えたら、続報を書く。